TCFDに基づく情報開示

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TCFD提言に基づく情報開示

気候変動が社会に及ぼす影響は年々深刻さを増しています。
国際社会は脱炭素社会の構築に向けた動きを加速しており、企業にも確実な対応が求められてきています。
当社も、気候変動への対応は重要な課題であると捉え、2030年度の温室効果ガス排出量を2020年度比で23%削減することを目標に掲げました。また、環境課題の解決に貢献する製品、ライフサイクル全体を通して環境改善に貢献する製品を「環境貢献製品」と定義し、これらを積極的に市場へ提供する方針を立てました。
ステークホルダーの皆様に活動内容をご理解いただくため、今後も気候変動への取組みに関する情報を開示し、当社の企業価値の向上に努めてまいります。

TCFD

当社は、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業となる ため、CSR(企業の社会的責任)活動から、企業活動を通じた価値創造により、全てのステークホルダーに貢献するサステナビリティ活動へ軸足を移し、スピード感を持った活動を推進するためサステナビリティ推進委員会を設置しました。
サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長が委員長となり、サステナビリティ基本方針を始めとしたサステナビリティに関する事項の審議を行います。
サステナビリティ推進委員会の下にサステナビリティ委員会を設け、気候変動や循環社会への対応、環境貢献 製品の認定などサステナビリティに関する取り組みを推進しています。
取締役会は、サステナビリティ推進委員会で審議された重要事項についての報告や提言を受け、気候関連課題への対応方針および実行計画等についても指示・監督を行っていきます。

1.5℃シナリオ※1

気候変動に対し厳しい対策が取られ、2100年時点において、産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ。
気候変動対応が強められ、政策規制、市場、技術、評判等における移行リスクが高まるシナリオ。

※1 インパクトを試算する際のパラメーターは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)の情報を参考にRCP2.6シナリオを使用。

4℃シナリオ※2

気候変動への厳格な対策が取られず、2100年時点において、産業革命時期比4℃程度気温が上昇するシナリオ。
自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加などの物理的リスクが高まるシナリオ。

※2 インパクトを試算する際のパラメーターは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)の情報を参考にRCP8.5シナリオを使用。

移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)

移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、低炭素経済への移行に関連した様々な規制などが導入される脱炭素シナリオに基づいて検討しました。

脱炭素シナリオ(1.5℃)においては、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇など費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加が想定されます。
一方で、当社の成長分野である電子セラミック材料、RFID向け導電性接着剤などの機能性材料では脱炭素イノベーションの高まりにより研究開発が推進し、当社の環境貢献製品の需要増加が想定され、ビジネスチャンスが増えていくものと考えています。
また、当社では、当社の生産工程で排出されるCO₂排出量削減を重要な課題と認識しており、再生可能エネルギーの活用や製造現場における脱炭素技術導入などにより、CO₂の削減に取り組んでいます。
調達面においては、サプライヤーとのコミュニケーションを通し、安定調達を継続し原材料に係るCO₂の削減を目指していきます。

物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)

物理的リスク・機会では、異常気象による自然災害の発生にともなう、事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。

自然災害は、発生の予測が難しく、一度発生すれば、当社の製造拠点が被災し、化学物質の漏洩など甚大な被害をもたらす可能性があります。
設備損傷や化学物質漏洩による操業停止などを回避するためには、災害対策に関する設備投資が必要となり、これによる製造コスト上昇も想定され、温暖化進行シナリオ(4℃)では、この傾向はさらに強まることが想定されます。
当社は気候変動リスクを含む大災害に対応できるよう、専門の委員会を設置しBCP(事業継続計画)体制を全社ベ一スで策定、緊急時においても事業活動への影響を最小限にとどめるよう備えています。
引き続き、BCP体制の継続的改善を推進してまいります。

◎:影響が大きい ◯:やや大きな影響 △:影響は軽微

 気候変動リスク
/機会の項目
世の中の変化想定されるシナリオリスク機会発生時期




1.5











政策・
法規則
GHG排出量・環境配慮に関する規則強化 規制対応にかかるコスト、脱炭素移行コストの発生 △   中・長期
炭素税、排出権取引の導入 炭素税、排出権取引の導入コストの発生 ◎   中・長期
市場・技術 低炭素・脱炭素移行の急進 設備投資、再生可能エネルギー転換コストが発生 △   短・中期
業界団体・政府による
カーボンニュートラル宣言
再生可能エネルギーの活用によりCO₂削減が促進される   ◯ 短・中期
脱炭素関連製品の開発・普及 川下で様々な環境貢献製品の需要が増加し、
その材料として使用される当社製品の需要・収益が向上
  ◎ 中・長期
資源価格の高騰 低コストで製造可能な生産国の海外企業が台頭し、
当社の競争力が低下
△   長期
原材料の調達コストが増加 ◯   中・長期




4











評判 脱炭素未対応、CO₂高排出企業への
評価が厳格化
川下産業でバリューチェーン全体のCO₂削減が求められ、
当社および生産ラインでの取り組みによって需要が変動
◯ ◯ 中・長期
慢性 降水・気象パターンの変化
(降雨量の増加、平均気温の上昇)
降雨量増加による従業員の安全性の確保 △   長期
操業停止あるいは生産量が低下すると、売り上げの減少、
製造設備に対する減損損失が発生するリスクがある
△   長期
急性 異常気象(台風、山火事、洪水、暴風雨)の激甚化および増加 自然災害により原材料の供給が停止 ◯   長期
工場被災による化学物質の漏洩リスクが発生 ◯   長期
主要拠点において、災害対策に関する設備投資コストの発生 ◯   短・中期

※影響が大きい・・・・事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される

※やや大きな影響・・・事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される

※影響は軽微・・・・・事業および財務への影響は軽微であることが想定される

※短期・中期・・・現在~2030年以内に発生する可能性が高い

※中・長期・・・・2030年~2050年の間に発生する可能性が高い

※長期・・・・・・2050年以降に発生する可能性が高い

当社のリスク管理についての審議及び決定機関はサステナビリティ推進委員会としております。
また、リスク対応は、サステナビリティ推進委員会の指示を受けて、各本部長の指示により、各部長、各工場長が行うこととしております。
気候変動に関するリスク・機会も重要な課題の一つと位置付けており、サステナビリティ委員会を中心に協議、検討しております。
サステナビリティ委員会では、気候変動によって受ける影響を把握・評価し、TCFDの枠組みに基づいたシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。
気候変動リスク管理の状況や特定した重大な気候変動リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会への報告・提言を行ってまいります。

2020年度の当社グループの温室効果ガス排出量は、Scope1(事業による直接排出)は29,117t、Scope2(電力消費による間接排出)は34,239tとなり、合計63,356tでした。
このたび、脱炭素社会の実現に向けて、パリ協定で求められるCO₂排出削減レベルを考慮し、Scope1,2の排出量について、2020年度の排出量63,356tを基準に、「2030年度23%削減」の目標を設定しました。
当社は社内の省エネ、節電を心掛けるとともに、再生可能エネルギーの活用や製造現場における脱炭素技術導入などにより、温室効果ガス排出量を削減し、脱炭素社会の実現を目指します。

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